西洋医学と漢方の違い

漢方薬と、薬局やドラッグストアで気軽に買える薬の効果と違い、漢方薬は古代中国が発祥で、長い経験の積み重ねて現代に受け継がれ日本に渡ってさらに独自の発展をしてきた伝統医学です。また市販の薬は、昔からある有名な薬など使われて、一般のご家庭に広まっていますが漢方薬は原則として2種類以上の生薬を配合していますが全て製法・用法・用量*1が決まっています。
民間薬は1種類の生薬からなり、用法・用量*2も詳細には決まっていません。

*1漢方薬 桂枝・芍薬・生姜・大棗・甘草など(桂枝湯)
*2民間薬 ドクダミ・センナ・センブリ・ゲンノミョウコなど

漢方薬は!
原因となるいくつもの症状を見極め処方するため、効果的に効く。からだのバランスを調え、自然治癒力を高めていく。体質改善など根本から強化し、ご自身の体を本来の姿に戻していきいます。

漢方は薬である以上、副作用もありますが、しっかりとした問診を行い、ポイントに合わせて、正しく使えば、副作用の心配はほとんどありません。漢方薬による改善方法について、実際に服用する際には、必ずご相談の上、服用してください。

市販の薬とは違い、根本を治すため、症状を改善することが出来ます。

胃が痛い場合は、西洋は胃薬を出すが、東洋は胃が痛い原因をつきとめ、漢方独自の診断方法によって処方を決定します。

漢方の特徴

①予防医学

自然治癒力を最大限に発揮し病気に成らない身体を目指します。 これを漢方では、「未病を治す」と言っています。

②総合医療

人体は五臓六腑と気・血・水のバランスの上に成り立っています。バランスが崩れると体調の不良、ひいては病となります。

③治療法

人間は、自然界の一生物です。自然の恩恵を受けながら、それに適応して生きています。季節、年齢、男女、環境の違いによって、治療法を選択します。季節性から言えば、春夏秋冬の変化は風(春)、湿(梅雨)、暑(夏)、燥(秋)、寒(冬)として現れます。風邪を例にとれば、梅雨から夏に掛けては湿気が多く、秋は乾燥した季節です。冬は寒気の影響をうけますので処方内容を変えて対応しな ければなりません。
年齢からは、加齢による臓器の衰え、小児では臓器が未発達であることを考慮する必要があります。その他、男女の違い、居住環境、生活習慣、食生活、体質(個体差)を考慮します。

④漢方の診断方法

漢方には機械的診断はありませんが、実際には次のような伝統的な、望・聞・問・切の四診があります。

①望診(見る診断)
患者の顔色、眼、唇の色、舌質の色と苔、歩き方、話し方、栄養状態、毛髪、爪、排泄物(便・尿・痰・鼻汁)などを見る。
②聞診(聴覚と臭覚を使って診断)
患者の呼吸音(コンコン・ぜいぜい・ヒューヒュー・息切れなど)、胃内の振水音、腹中雷鳴(お腹がゴロゴロなること)、体臭、大便、小便の臭気を嗅ぐ。
③問診(患者の訴えを聞き、質問する)
主訴、既往歴、自覚症状や体質、職業、年齢、生活環境、家族構成、結婚未婚、子供の有無、血圧、排便排尿の回数。女性ですと、生理痛、生理不順、経血の色、おりものの有無。精神状態(イライラ感、不安定、ストレス、動悸)、めまい、むくみ、不眠、食欲、病気の誘因などを聞きます。
④切診(患者に触れる診断)
患者の脈の状態(遅・数・虚・実、浮・沈、結・代、細・洪、滑・弦など)。脈状によって、病気の寒・熱、虚・実、表・裏の判定に使われます。その他、鍼灸で言う「ツボ」は内臓の診断にも使われ、脾臓に病変があると、その経路に沿ってコリや痛み、張りなどが現れます。

⑤健康のバロメータ

快便・快食・快眠は健康のバロメ ータと言われています。ひとたび病気になると、下痢、便秘、頻尿、尿漏れ、食欲不振、吐き気、ゲップ、腹痛、寝付きが悪い、夢を見る、途中で目が覚めるなど、体調の乱れとして現われ、これが診断と治療の目安となります。

⑥健康寿命

年々、平均寿命は延びています。ところが、健康でなければ意味がありません。糖尿病・認知症• 高血圧・心筋梗塞・脳卒中など生活習慣の不摂生から来る病が増えています。また、ストレスからくる病も多く見られるようになってきています。認知症による幻覚・幻聴もストレスが高じて起こる例を見かけます。また、逆流性胃炎・潰瘍性大腸炎・神経性下痢・鬱病・癌・アレルギーなどキラーストレスといって精神性(喜怒哀楽)との関連が指摘されています。

⑦心と身体

人間は、感情的な生き物です。強いショックや長期にわたるストレスは、病気の原因になります。怒り、憂い、思い悩み、恐れ、驚きの感情が、生理的限界を超えると、気血水の流れや臓腑の働きに影響し、病気の引き金となります。「病は気から」と言われるように、病気とは「気を病む」と書きます。こころの病はからだの変調を来たし、身体の不具合から精神的病を引き起こしています。漢方では、これを心身一如と表現しています。更年期障害もホルモンバランスの崩れから様々な身体の変調と共に精神的に不安定になるケースが見受けられます。

⑧東洋医学の世界

東洋医学には、①湯液療法、②ツボ療法、③食事療法、④気功療法があります。それぞれの治法は、病状によって使い分けることで相乗効果をうることができます。

(1)湯液療法(煎じ薬•散薬・丸薬・錠剤を症状に合わせて服用する)
病気の部位(表・裏・半表半裏)

風邪の場合、体表面から半表半裏→裏へと伝わり、症状も変化します。表にある時期は発汗剤、半表半裏は和解薬、裏に在るときは下剤を使います。

病気の性質(寒・熱)

悪寒や熱感の有無によって温める薬を使うか、冷やすかの選択をせまられます。発熱、悪風、自汗、無汗、盗汗、往来寒熱、潮熱、口渇、内傷性発熱によって処方を選択します。冷え性は体を温めると同時に血液の流れを改善する処方を使います。

病気の勢い(虚・実)

正虚邪実といい、免疫力の低下があるか、邪気が強いかで、補うか、邪気を排除するか。薬物の配合が決まってきます。

バランスのバロメータ(陰・陽)

表・熱・実は陽に、裏•寒•虚は陰に属します。人の体は陰陽のバランスの上に成り立っています。

(2)ツボ療法(針•灸・指圧でツボを刺激して身体のバランスを調える)

人体には、気の巡るルート(経絡)があり、五臓六腑と繋がっており、内臓に不具合が生じると、経絡上の経穴(ツボ)に反応点として現われます。このツボは、治療や診断に使われます。

(3)食事療法(食べ物で五臓六腑を養う)

食物には身体を温めるモノと冷やすモノがあり、寒・熱・温・涼・平に分けることが出来ます。また、酸・苦・辛・甘・鹹・淡の味があり、それぞれに働きがあります。→漢方で使われる生薬も、酸は肝、苦は心、辛は肺、甘は脾、鹹は腎、淡は三焦とかかわりがあると考えています。これを医食同源と言っています。

(4)気功療法(心と身体の調和をはかる)

気功は、呼吸法を中心にゆったりとした運動療法です。これには下記の三つがあります。

【調身】(運動療法)

人間には生活習慣からくる身体の歪みがあり、 運動することで姿勢を正し気血水が全身に巡りやすくします。

【調息】(呼吸療法)

呼吸は、天地のエネルギーである酸素を取り入れ、余分な炭酸ガスを吐くことで全身の新陳代謝をはかります。また、精神を安定させることが出来ます。

【調心】(精神療法)

心とからだは一心同体です。腹式呼吸を通じて精神を統一することで、心を安静にして全身をリラックスさせる。インナーマッスル、ヨガ、坐禅、ストレッチ、太極拳に通じています。